親子のうれしい瞬間は、特別なお出かけや大きなイベントだけにあるわけではありません。公開調査を横断して見ると、子どもの笑顔、成長を感じる場面、いっしょに遊ぶ時間、何気ない会話のような日常のなかに、両親の喜びが集まりやすいことが見えてきます。また、子ども側にとっては「話を聞いてもらえること」も大切で、親の心のゆとりが子どもの幸せ実感と関わることも示されています。この記事では、お子さまと両親にとって最もうれしい瞬間をやさしく整理しながら、忙しい毎日でも見つけやすい親子時間の見方をまとめます
親子のうれしい瞬間は、特別な日よりも日常にあらわれやすい
まず多くの家庭で挙がるのは、子どもの笑顔と成長
公開調査を整理すると、両親にとって「最もうれしい瞬間」として共通して浮かびやすいのは、子どもの喜んだ顔や笑顔を見るとき、そして成長を感じるときです。保護者向けの調査では、「子どもの喜んだ顔を見るとき」「子どもの成長を感じるとき」が喜びや楽しさとして多く挙げられ、別の子育てアンケートでも、親になって幸せな時間が増えたと答えた人は95%にのぼり、その理由としてもっとも多かったのは「成長や頑張りを感じる時」でした。
うれしさは、大きな出来事のときだけに生まれるわけではありません。お迎えで駆け寄ってくる瞬間、寝顔を見てほっとするとき、昨日までできなかったことが自然にできるようになったときなど、日常の細かな変化が親の心に残りやすいことも、公開されたアンケートの自由記述から読み取れます。
小さなお子さま期は「いっしょに遊ぶ」「散歩する」「話す」が印象に残りやすい
乳幼児を育てる家庭への調査では、育児のなかで好きな時間の1位が「一緒に遊んでいる時間」、2位が「散歩している時間」、3位が「話している時間」でした。遊ぶ、歩く、話すという、どれも特別ではない日常の関わりが上位に並んでいるのは印象的です。
ここから見えてくるのは、親子のうれしい瞬間は「高価な体験」よりも、「同じ方向を見て楽しめた」「気持ちが通じた」と感じられる時間に宿りやすいということです。小さなお子さまがいる時期ほど、親にとっては遊びの時間や散歩の時間そのものが、かけがえのない思い出になりやすいと考えられます。
子どもにとってのうれしい瞬間は「大事にされている」と感じる時間
話を聞いてもらえることは、子どもの幸福感と深くつながる
子ども側の気持ちに目を向けると、うれしさの中心には「自分の話をきいてもらえること」があります。1万人規模の意識調査では、親が自分の意見を聞き大事に扱ってくれると答えた子どもの幸福度は86%だったのに対し、そう感じていない子どもでは33%でした。親子のうれしい瞬間は、親が何かをしてあげた場面だけでなく、子どもの気持ちを受け止めた場面でも生まれていることが分かります。
つまり、子どもにとっては「ちゃんと聞いてもらえた」「否定せず受け止めてもらえた」という感覚が、安心や満足につながりやすいということです。親子で同じ出来事を過ごしていても、子どものうれしさは、会話の中のまなざしや返事の仕方に宿ることが少なくないと見てよさそうです。
親の心の余裕も、子どもの幸せ実感に関わっている
約2万組の親子を追った継続調査では、保護者自身の幸せ実感と子どもの幸せ実感が連動していました。保護者が「幸せ高群」の場合、子どもも「幸せ高群」である割合は50.0%でしたが、保護者が「幸せ低群」の場合、その割合は21.6%にとどまりました。さらに、寄り添うような働きかけを受けている子どものほうが、幸せ実感が高い傾向も示されています。
この結果からは、両親が完璧であることよりも、無理を抱え込みすぎず、子どもに寄り添える余白を持てることが大切だと読み取れます。親の機嫌をいつも明るく保つという意味ではなく、家庭のなかに安心して話せる空気があることが、親子双方のうれしさにつながりやすいという見方ができそうです。
忙しい毎日でも、親子のうれしい瞬間は見つけられる
いまの親子時間は、長く取りにくい家庭も少なくない
家庭教育に関する全国調査では、子どもとふれ合う時間は平日では「1〜2時間未満」が27.8%で最も多く、休日は「4時間以上」が57.9%で最も多い結果でした。また、労働時間が長くなるほど、平日の子どもとふれ合う時間は短くなる傾向も示されています。
さらに、小学生の子どもを持つ共働き夫婦を対象にした調査では、親子が一緒に過ごす1日あたりの平均時間は、平日2時間19分、休日4時間19分で、2012年より減少していると報告されています。忙しさや予定の細分化によって、親子が同じ時間を持ちにくくなっている今、「長く一緒にいること」だけを理想にすると、かえって苦しくなりやすい面もありそうです。
だからこそ「笑顔」「会話」「いっしょに遊ぶ」を見逃さない見方が大切
複数の調査を重ねて見ると、親子のうれしい瞬間として繰り返し挙がるのは、子どもの喜んだ顔、成長を感じる場面、いっしょに遊ぶ時間、会話の時間、家族として一体感を感じる場面でした。時間の長さだけでなく、その時間のなかで何を共有できたかに目を向けると、今ある親子時間をやさしく受け止めやすくなります。
たとえば、保育園や学校から帰ってきたときの表情、食卓でのひとこと、公園で一緒に笑った数分、寝る前に話した短い会話も、親子にとっては十分に「うれしい瞬間」になりえます。調査結果をそのまま追うのではなく、自分の家庭ならどの場面に近いかという視点で読むと、親子の幸せはもっと身近に見つけやすくなります。
まとめ
お子さまと両親にとって最もうれしい瞬間を公開調査から整理すると、共通して見えてくるのは、子どもの笑顔や喜んだ顔を見るとき、成長を感じるとき、いっしょに遊ぶとき、会話が弾むときです。そして子ども側にとっては、自分の話を聞いてもらい、大事にされていると感じることも大きな意味を持っています。
忙しい毎日では、親子で過ごせる時間の長さばかりが気になりがちです。ただ、調査を見比べると、本当に心に残りやすいのは、何気ない日常のなかで気持ちが通い合った瞬間でした。完璧な親子時間を目指すより、今日の笑顔、今日の会話、今日の「できたね」を見逃さないことが、家庭に合ったやさしい見方になりそうです。


