セカンドキャリアライフという言葉が気になっても、「転職のこと?」「定年後の話?」「まだ早いかも」と感じる方は少なくありません。けれど公開情報をやさしく整理してみると、これは単なる仕事の選び直しではなく、人生後半の働き方や暮らし方をどう整えていくかを考える視点として読むとわかりやすいテーマです。長く働く人が増えている今、自分に合う見方を知っておくと、焦らず次の一歩を考えやすくなります。
セカンドキャリアライフは「仕事」だけで読まないほうがわかりやすい
働き方だけでなく、暮らし方や人とのつながりも含めて考える
セカンドキャリアというと、つい「転職」や「定年後の再就職」だけを思い浮かべがちです。けれど厚生労働省のキャリア形成支援資料では、セカンドキャリアを考える際には仕事に限定せず、趣味や地域社会との関係も含めて考えることが大切だとされています。定年後のキャリアを考えるジョブ・カードの案内でも、これまでの仕事の棚卸しに加え、価値観やライフスタイルを踏まえて今後の選択肢を考える流れが示されています。
だからこそ、セカンドキャリアライフは「次に何の仕事をするか」だけでなく、「どんな毎日を送りたいか」「どのくらい働きたいか」「家族や自分の時間をどう置きたいか」まで含めて読むと、ぐっと身近になります。この記事でも、仕事と暮らしを切り離さずに整理していきます。
人生後半の準備は、早すぎるより少し早めがちょうどいい
厚生労働省の中高年向けキャリア形成資料では、40代を「キャリア分水嶺」、50代以降を「キャリア再構築期」や「セカンドキャリアに向けての準備」と位置づけています。つまり、人生後半の働き方は、60代になってから急に考えるものというより、40代や50代のうちから少しずつ輪郭をつくっていくものとして扱われています。
「まだ早いかな」と感じる時期でも、早めに見ておく意味はあります。準備といっても、すぐに大きく動く必要はありません。まずは、自分が何を大切にしたいのかを言葉にしていくところからで十分です。
今、セカンドキャリアライフが注目されている背景
女性の就業率が上がり、「長く働く」が身近になっている
内閣府男女共同参画局によると、15〜64歳女性の就業率は平成27年の64.6%から令和6年には74.1%まで上昇しています。また、女性の年齢階級別の労働力人口比率は、以前のいわゆるM字カーブから、20代から50代まで台形に近い形へと変わってきたとされています。働き続けること自体が、以前よりずっと現実的な前提になってきたといえそうです。
一方で、同じ資料では、年齢が上がるにつれて正規雇用比率が下がる傾向も指摘されています。つまり、「働くこと」は広がっていても、「どう働くか」「どんな条件で続けるか」は、まだ人によって差が大きいままです。セカンドキャリアライフを考えるときに、自分に合う条件を見極めることが大切になる理由はここにもあります。
65歳以上の就業者が増え、仕事の形も広がっている
総務省統計局によると、2024年の65歳以上の就業者数は930万人で、21年連続の増加となりました。就業者全体に占める65歳以上の割合は13.7%で、およそ7人に1人が65歳以上です。人生後半も働くことは、特別な人だけの話ではなくなっています。
内閣府の高齢社会白書を見ると、65歳以上の就業は「卸売・小売」に加え、「医療・福祉」や「サービス業」でも増えています。特に「医療・福祉」の65歳以上就業者は、10年前と比べて約2.3倍になっており、これまでの経験を生かしながら働ける場が広がっている様子も見えてきます。
70歳までの就業機会を意識する流れも出てきている
厚生労働省によると、高年齢者雇用安定法では、事業主に対して65歳までの雇用機会確保が義務づけられているほか、65歳以上70歳未満の人については、70歳までの就業機会を確保する措置を講ずるよう努めることが求められています。内容には、継続雇用だけでなく、業務委託や社会貢献事業への従事も含まれます。
制度の広がりを見ると、セカンドキャリアライフは「会社を辞めたら終わり」ではなく、雇用、再雇用、委託、地域活動など、複数の形を横に並べて見る時代に入っていると読めます。ここを知っておくと、選択肢を狭く考えすぎずに済みます。
セカンドキャリアライフを読むときに見ておきたい3つの視点
収入だけでなく、やりがいや体力とのバランスを見る
内閣府の調査では、60歳以上が収入を伴う仕事をしている理由として最も多いのは「収入のため」ですが、それに続いて「働くのは体によいから、老化を防ぐから」「自分の知識・能力を生かせるから」といった理由も挙がっています。65歳以上でも、収入だけでなく、体調感覚や生きがい、自分らしさが仕事の理由になっていることがわかります。
このため、セカンドキャリアライフを読むときは、「いくら稼げるか」だけで判断しないほうが自然です。収入、体力、生活時間、人とのつながり、やりがい。この5つくらいを並べて眺めると、自分に合う方向が見えやすくなります。
再雇用・転職・業務委託は同じようで違う
人生後半の働き方には、今の会社での継続雇用、別の会社への再就職、経験を生かした業務委託など、いくつかのルートがあります。厚生労働省の制度説明でも、70歳までの就業機会確保の手段として、継続雇用だけでなく業務委託契約や社会貢献事業への参加が並列で示されています。
ここで大事なのは、「働く」という一言でまとめないことです。安定を優先するなら再雇用が合う場合もありますし、裁量や専門性を生かしたいなら業務委託のほうがしっくりくることもあります。セカンドキャリアライフを読むときは、形の違いを分けて考えると、情報に振り回されにくくなります。
いま持っている経験を「使える言葉」にしておく
ジョブ・カードやキャリアコンサルティングの案内では、これまでのキャリアを振り返り、スキルや能力の棚卸しをしていくことがすすめられています。無料のキャリアコンサルティングでは、職業生活設計や能力開発について相談でき、対話の中で自分の強みや価値観に気づくきっかけにもなるとされています。
長く働いてきた方ほど、経験が当たり前になっていて、自分の強みを言葉にしにくいことがあります。けれど「人と調整してきた」「教える役割が得意」「現場で続けてきた」など、言葉に直すだけで見え方は変わります。セカンドキャリアライフは、新しい肩書きを探す前に、今ある経験をどう見直すかから始めてもいいテーマです。
40代・50代・60代で変わる、自分に合う読み方
40代は選択肢を増やす目線で読む
40代でこのテーマを見るなら、「まだ先の話」と切り離すより、これからの選択肢を増やす材料として読むのがおすすめです。厚生労働省の資料でも、40代はキャリアの方向性を再探索する時期として位置づけられています。
この時期は、転職するかどうかをすぐ決めなくても大丈夫です。どんな働き方なら続けやすいか、どんな経験が今後も生きそうか、学び直すなら何が現実的か。そんな問いを持って読むだけでも、後の動きやすさが変わってきます。
50代は役割の変化を前向きに整理する
50代は、役職や家庭の状況、体力、収入の見通しなど、変化が重なりやすい時期です。厚生労働省の中高年向け資料では、50代以降を「役割変化の受容」「継続雇用・社外転進に向けてのマインドセット」「セカンドキャリアに向けての準備」として整理しています。
ここで意識したいのは、「減るもの」だけを見るのではなく、「残るもの」「これから使えるもの」を見つけることです。経験、人脈、信頼、段取り力、対人調整力。数字になりにくい強みほど、次の場面で生きることがあります。
60代は続けやすさと無理のなさを大切にする
60代では、働き続けたい気持ちがあっても、何を優先するかは人それぞれです。内閣府の調査では、60歳以上の中で「75歳くらいまで」「80歳くらいまで」あるいは「働けるうちはいつまでも」と考える人を合わせると4割を超えています。長く働く意欲そのものは、かなり身近なものになっています。
ただし、ここで大切なのは無理のない形を選ぶことです。2024年の女性の平均寿命は87.13年で、人生後半は思っているより長く続きます。だからこそ、短期的に頑張りすぎるより、心身や生活リズムに合う働き方を探す視点が大切です。気になる体調変化や働くうえでの不安がある場合は、必要に応じて専門家にも相談しながら考えると安心です。
学び直しや相談先まで含めて考えると動きやすい
無料相談とジョブ・カードを活用する
「何から始めればいいかわからない」ときは、ひとりで考え込みすぎないことも大切です。厚生労働省のマイジョブ・カードでは、求職者や在職者が無料のキャリアコンサルティングを対面またはオンラインで受けられると案内されています。全国47か所の支援センターやハローワークの相談コーナーが利用できます。
また、キャリア形成・リスキリング推進事業では、個人向けにキャリア形成や学び直しの相談支援を無料で提供しています。今後のキャリアが何となく不安な人、定年を見据えた働き方を相談したい人も対象になっているため、最初の一歩として使いやすい仕組みです。
学び直しは制度を知ってから考える
学び直しに興味があっても、費用面が気になる方は多いと思います。厚生労働省の教育訓練給付金では、一定の要件を満たす人が指定講座を受講・修了した場合、費用の一部が支給されます。対象は、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類です。
学び直しは、資格を取ること自体が目的になってしまうと続きにくいこともあります。セカンドキャリアライフの視点で見るなら、「何のために学ぶのか」「どんな働き方につなげたいのか」を先に整理してから制度を調べるほうが、無理なく選びやすくなります。
まとめ
セカンドキャリアライフは、転職のテクニックだけを集めるテーマではありません。公開情報をやさしく読み解くと、これは人生後半の働き方、暮らし方、学び方、人とのつながり方をどう組み合わせていくかを考える視点として見るとわかりやすい言葉です。
女性の就業率は上がり、65歳以上の就業者も増え、制度面でも70歳までの就業機会を意識する流れが進んでいます。だからこそ、「もう遅い」ではなく、「自分に合う形は何か」を静かに見つけていく姿勢が大切になっています。
読み方のコツは、収入だけで決めないこと、働き方の形を分けて考えること、今までの経験を言葉にしておくことの3つです。迷ったときは、無料相談や学び直し支援も視野に入れながら、少しずつ整理していくと、自分らしい次の選び方が見えてきます。


